公務員、人事異動とは?
人事異動とは職員の配置、階級、退職、採用を変更することです。新卒で採用されたり、退職することも人事異動の一環になります。
これは国家総合職、国家一般職、自衛隊(自衛官)、地方上級(大卒程度)、地方初級(高卒程度)、警察官、消防士、教員など公務員であれば必ず実施されます。新卒採用で定年まで全く同じ部署に居続けている方は基本的にいないかと思います。
一部の小規模な中小企業の場合ですと全く部署や勤務先を異動することなく、新卒・中途採用から定年まで迎えることもありますが、上場しているような大企業のほとんどは人事異動があります。
それと同じように公務員も人事異動が繰り返されるのですが、民間企業とは少々目的(主旨)が異なります。
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公務員、人事異動の理由一覧
- 癒着しないようにするため
- 様々な経験を積むため
- 家庭の諸事情を考慮するため
- 人手不足を補ったり、部署を強化するため
民間企業の場合でも上記の理由で人事異動が実施されているケースが多いのですが、公務員は癒着するリスクを避ける目的が強いと言われています。なぜそれほどまでに公務員は癒着を意識しているのか?と言えば一緒に仕事をする内に仲良くなれば当然私情が生まれてきます。A社、B社、C社の3つが競合になっていて、A社と仲が良ければ有利に進むように働く可能性もあるでしょう。
当然、人間関係は今日、昨日で出来るものではありませんので、期間が長ければそれだけ絆が深まります。特定の企業に利益を与えるのは公務員として絶対にあってはならない行為です。それを防ぐために頻度の高い人事異動が繰り返されているのです。
もちろん、癒着以外にも理由があります。例えば将来の幹部候補を育成する目的などです。同じ部署で長期間働いていては、他の部署のことが分かりません。20年後、30年後にリーダー格になる職員は数多くの業務を統括することになりますので、幅広い知識と経験が必要になるのです。国家総合職(高級官僚)、地方上級などは特に考えられたキャリアを積むことになります。
他にも新しく併設された部署で人員補強が必要なケース、両親の介護が必要で自宅から近い場所に勤務先を希望するケースなど理由はいろいろあります。
職種別~人事異動の平均年数一覧
一括りに公務員と言っても様々な種類があります。職種によって頻度が異なりますので、ザックリとして目安をまとめてみました。
国家総合職
半年~3年程度
様々な公務員の種類の中でも圧倒的に人事異動の年数が短いのが官僚です。さらに異動先についても様々で他の省庁、民間企業・独立行政法人、地方自治体、海外などその範囲も広いのが特徴的になります。状況によっては1年未満で異動が命じられるケースも珍しくはなく、引越しを伴う異動は当たり前です。極端な話をすると北海道から沖縄、東京から海外に異動する可能性もあります。
国家総合職に合格できる才能を持っている方でも家族を持った時に子供を転校させるのが嫌で市役所を選択する例もあります。まさに転勤族です。
国家一般職
2年~4年程度
本省採用の場合は官僚と同様に全国各地に転勤することになりますので、地域採用の場合ですと県を跨ぐこともありますので、ある程度は範囲が限定されます。引越しを伴う転勤は覚悟しなければいけません。
県庁・政令都市・市役所
2年~5年程度
県庁であれば県内、市役所であれば市内で異動することになります。最終的にトップクラスの階級まで登りつめれば本庁の部署内で異動することになりますが、20代、30代、40代の場合ですと本庁と出先機関を交互に行ったり、来たりすることになります。いかに地方上級の幹部候補生や優秀な人材でも出先機関に人事異動になります。都道府県庁の場合ですと引越ししなければいけないがケースも多いのですが、免責の狭い市役所であれば同じ住居で安定して働くことも可能です。
警察官・消防官
2年~5年
警察官は都道府県職員、消防士は市役所職員になりますので、それぞれの自治体の意向によって人事異動が決定されます。人事異動では他の自治体へ出向するケースもあります。
教員(教師)
2年~10年程度
数ある公務員の中でも人事異動の年数が長いと言われているのが教員です。新卒採用者については2年~4年程度で異動しますが、次の職場からは最大10年同じ学校で働くこともあります。もちろん、本人の希望や諸事情によっては短いスパンになることもありますが、他と比べるとメリットがあると言えるでしょう。
公務員、人事異動に関するQ&Aコーナー
よくある質問をまとめてみました。
圧倒的に多いのは4月(春異動)です。続いて多いのが10月(秋異動)になります。
4月と10月で人事異動の9割以上を占めている組織が多いです。
概ね異動の2週間前~1ヶ月前です。4月異動であれば3月の1週目~2週目に内示が報告されるケースが多いです。但し、役職・階級などによって知らされる時期は若干異なる可能性があります。
希望通りに異動できるケースは本当に稀です。40代~50代の公務員の方に聞いたところ一度も希望する職場に異動できていないという方が大半です。
但し、両親の介護や子供が幼いなど家庭の事情がある場合は考慮してもらえる可能性が高いです。
以前まではほとんどの組織で配偶者同士を同じ職場に配置することを避けていましたので、結婚のタイミングで片方又は両方が異動になるが一般的でした。しかし、近年においては必ずしもそのようなことはなく、例えば宮崎県警では夫婦が一緒に働く仕組み作りに力を入れています。
参考ページ:朝日新聞「警官同士で結婚、辞令「二人で駐在」 県警、同じ職場に」 https://www.asahi.com/articles/ASK4V6S3NK4VTNAB00W.html
人によって異なります。精神的な負担から病気になるケースもあるでしょう。
ただ、職場が変わるタイミングというのは非常にストレスが溜まりやすい時期になりますので、異動後の1ヶ月~2ヶ月程度は自分なりのストレス発散を心掛けるといいでしょう。
あります。特に幹部職(一般的に課長級以上)の場合は実名で報道される可能性が高いです。